インサート成形

    

インサート成形とは

インサート成形は、プラスチックの射出成形を用いた加工方法の一つです。インサート成形は本体となる樹脂を射出する前に、インサート部品を金型にあらかじめセットし射出成形することで、インサート部品の周りに樹脂を充填します。こうすることで、本体にインサート部品を埋め込み、一体となった状態で成形できるのです。

インサート成形では一般的な射出成形とは異なり、樹脂の射出毎にインサート部品を金型にセットする必要があります。 小ロット~中ロットでは、インサート部品のセットは人間が行う場合がほとんどで、作業者が成形機1台に対して1人付いて作業するのが一般的です。

大ロットになってくると、パーツフィーダーやロボットアームなどを用いてセットし、無人化する場合もあります。

よく似たもので「二色成形」と呼ばれる加工方法がありますが、二色成形の場合は二色成形専用機を利用し、1つ目の加工でできた成形品を2つ目の加工で結合する加工方法です。自動で金型を入れ替えられるため、全自動で加工ができます。原理的にはインサート成形と同じです。

インサート部品には、ネジやナット、板金部品、別種のプラスチック部品など様々なものが用いられます。汎用的に使われるインサート向けのナットは「インサートナット」として幅広く流通しています。近年では、ICチップなどを埋め込み、RFID(ICタグ)として利用する場合もあり、IT用途でのインサート成形の利用も今後さらに増えていくと考えられます。

インサート成形のメリット

インサート成形は、主に下記の5つのメリットがあげられます。

  • 製品の一体化
  • 強度・耐久性アップ
  • 精度・品質の安定
  • 組み立て工数の削減
  • 導電性部品を組み込める

インサート成形を用いることで、異素材・同素材の部品と一体化させる成形が可能になります。外観に変化をつけたい場合であったり、一部をエラストマーなどの柔らかい材質にすることで製品にグリップ力をつけたりすることも可能です。

また、製品にインサートナットなどの金属部品を埋め込むことで、樹脂だけでは実現できない結束強度も実現できます。樹脂製品にタッピングビス用の下穴などをあけることも可能ですが、インサートナットを用いた場合と比べるとネジ穴の強度差は比べ物にならないほどインサートナットのほうが優れています。

さらに、インサートナットの場合、ネジ穴の位置精度も部品を後付けした場合と比べると高くなりやすく、組み立て精度のアップにも貢献します。インサート成形を用いることで、部品点数も減らせるため、組み立て工数の削減にも寄与するのもメリットと言えるでしょう。

板金部品などを製品内部に埋め込むことで、外観は樹脂で内部は金属といった製品も実現できます。端子などをインサートする場合も多く、導電性と絶縁性の両方を兼ね備えた製品を製造したい場合にもインサート成形の利用は最適です。

インサート成形のデメリット

インサート成形のデメリットには、次の2つがあげられます。

  • 成形後に反り・クラックがでる可能性がある
  • インサート部品のセットにコストが掛かる

インサート部品には、本体とは異なる材質を基本的に利用しますが、熱伝導率と熱膨張係数の差から材料の収縮に差が出てしまって、成形後の製品に反りやクラックが出る可能性があります。

特に、板金などをインサートする場合は熱膨張係数に差が出やすいので、反りの出やすい幅や長さのある製品を加工する場合は注意したほうがいいでしょう。

通常の射出成形の加工では、無人でも射出成形機を稼働し続けられます。しかし、インサート部品のセットには、かなりの大ロットでない限り、人が金型にセットしていくことになります。

そのため、インサート成形の場合、作業者の人件費が加工コストに加算されることになるのでコストアップにつながってしまいます。インサート成形を利用するかどうかは、削減できる組み立て工程のコストなどを鑑みて判断するといいでしょう。

インサート成形の注意点

インサート成形を樹脂同士で行う場合、材料の融着性に注意する必要があります。なぜなら、相性の悪い樹脂同士の場合、すぐに融着面から剥がれてしまうからです。

基本的には同材質の場合が最も安定した融着性を発揮しますが、ナイロン素材(PA)などは同材質でも相性が悪い場合もあり樹脂によって様々です。

材料メーカーやグレードによって相性の良さは大きく変わるので、樹脂同士でインサート成形を考えているのであれば、メーカーに問い合わせて確認するようにしましょう。

インサート成形例

屋外線引留金具
インサート成形